最近、今までの抗癌剤と異なる考え方から開発された薬剤が 出来、ある種の癌が治療できるようになってきた。 例えば、CML 〔慢性骨髄性白血病)は2001年以前は予後のよくない大病だった が、イマチニブという抗癌剤の発見によって、CMLは治療可能な 病気になった。
1973年にBCR-ABLという融合遺伝子が発見され、BCR-ABL の産物であるTyrosine Kinase 酵素の分子の形を抗体やコン ピューターを使って描写し、この酵素を阻害する化合物を作成した。 この化合物がイマチニブという新しい抗癌剤である。 イマチニブは 現在、他に*GISTや*HESにも使われ、効果をあげてきている。
イマチニブの発見は科学者に、病気がいかに起こるかを知る 事が、がんの治療のみならずその治癒迄出来るようになるという事 を教えたのだと思う。 また、イマチニブの成功に刺激され、幾多の 分子を標的にした薬が開発されつつあり、既に認可されている薬も 多数ある。
*GIST: Gastrointestinal Stromal Tumor(消化管間葉系腫瘍)
*HES: Hyper Eosinophilic Syndrome (好酸球増加症候群)
霞 竜雄M.D. 霞 朝雄M.D.